今回のワークショップに登場したのは、D.LEAGUEの人気チーム「Valuence INFINITIES」から RYOGA・KODEE ONE・TSUKKI の3名。世界で活躍するトップダンサーが現れた瞬間子どもたちは一気に緊張の面持ち。その視線は憧れと期待で輝いていました。
参加したのは小学生から高校生まで幅広い世代。始まる前から熱心に準備運動をする子どもたちからは、「ダンスが大好き!」「もっと学びたい!」「上達したい!」という気持ちが全身から伝わってきます。
ブレイキンは基礎と応用を積み重ねてこそ形になるダンス。そのため初級・上級の区分はあってもレッスン構成は大きく変わらず、両クラスとも同じ流れで進行しました。違いは、レベルに合わせた声かけやアドバイス。Dリーガーの言葉に導かれ、子どもたちは一歩ずつ確実にステップアップしていきました。
レッスンはストレッチからスタート。そこからチェアー、肩チェアーと続き、徐々に高度な動きへ。トップロック、フットワーク、そしてブレイキンの代表的なパワームーブ「ウィンドミル」まで挑戦する濃密なプログラムでした。
教え方はストイックでテンポが速く、厳しい世界を生きているプロならではの鋭さが光ります。それでも「肩ではなく肩甲骨から前に出すように!」「いいねいいね!次!いける!」と具体的でわかりやすいアドバイスやポジティブな声掛けを交え、子どもたちの上達をサポートします。
基礎練習ではしっかり身体の使い方を叩き込みつつ、実践の場面になると「フリーでいっちゃおう!」「楽しんで!狂っちゃって〜!」と子どもたちのテンションが上がる声かけで一気に空気を解放。真剣さと楽しさのメリハリが絶妙で子どもたちの表情はどんどん変化していきました。「90分しかないから集中して!今日習ったことを持ち帰って練習するように!」といった声かけには、心から子どもたちに成長してほしいという願いが込められているように感じました。
ラストを飾ったのは、DリーガーのRYOGA・KODEE ONE・TSUKKIも輪に交じり、子どもたちと同じ円の中で踊るフリーダンス(サイファー)。ブレイキンの真骨頂ともいえるこの時間は、まさにワークショップのハイライトでした。最初は「どうしよう」「出られるかな」と戸惑う子どもたち。しかし他の子が一歩踏み出して円の中心で楽しむ姿を見るにつれ、背中を押されるように少しずつ前に出ていきます。そして、Dリーガーたちが見せる圧巻のブレイキン。軽やかでありながら迫力満点。子どもたちは何度も目を輝かせ、「同じ空間で踊っている」という事実に胸を躍らせていました。汗を流しながら全力で思い思いのパフォーマンスを魅せつける子どもたち。緊張から笑顔へ、そしてやり切ったあとの誇らしい達成感へと変化する表情は、成長の証そのもの。90分という短い時間の中で、彼らは“技術を学ぶ”こと以上に、挑戦する勇気・自由に表現する喜びを覚えたのではないでしょうか。憧れのDリーガーとのダンスセッションは子どもたちにとって一生の宝物になる体験でした。
レッスン後には、事前に子どもたちから集めた質問を元にQ&Aコーナー が設けられました。「バトルで勝つ方法は?」という問いに対してのDリーガーの答えは「夢中になって練習すれば必ず結果はついてくる。勝つことだけを目指すのではなく、まずは楽しんで夢中になってほしい。」というシンプルで力強いもの。
試合で勝つことや難しい技を成功させることも大事だけれど、何よりも“楽しさ”が原動力になる。楽しさがあるからこそ続けられ、続けるからこそ必ず結果につながる。そんなプロならではのリアルな経験がこめられた言葉でした。
小さな目標も持つこと、生活にダンスを取り入れることなど実践的な回答も子どもたちが今後ブレイキンを続けるうえでのヒントになったのではないでしょうか。
今回のワークショップは子どもたちにとってただのレッスンではなく夢中になることの大切さに気付き、挑戦する勇気を得る時間となりました。
最初は緊張で表情が硬かった子もレッスンが進むにつれて声が出るようになり、笑顔が増え、最後には自分の力を出し切る達成感に包まれていました。
憧れのDリーガーと同じ空間で汗を流し同じ円の中でフリーダンスを踊った経験はきっと忘れられない宝物になったはずです。